BIT VALLEY 2019で印象に残った3つのセッションとその感想
はじめに
BIT VALLEY 2019に参加しました。この記事では, 私が印象に残った3つのセッションを紹介します。私は後半の1日しか参加していないため, 2日目のセッションについてのみ書きます。
また, この記事は私なりに咀嚼した概要です。そのため, 誤った捉え方をしている部分があれば訂正をお願いします。
もくじ
- はじめに
- もくじ
- BIT VALLEYとは
- 「よい」だけでは足りない! –世界に飛び出していくために必要なマインドセット–
- クラウド時代のエンジニア生存戦略
- 世界中の開発者と共にモノづくりをするために必要な6つのこと
- 全体を通して
- おわりに
BIT VALLEYとは
2019年09月13日(金)〜09月14日(土)にかけて開催されたカンファレンスイベントです。ホームページには以下のように書かれています。
「BIT VALLEY 2019」は、技術だけでは成しえない、人の感性に訴え、共感を呼ぶサービスを創造するために必要な、気づきを得られるカンファレンスイベントです。
要するに, 「なに」で創造するかではなく 「どのように」創造するかに焦点をあてたカンファレンスイベント です。
「よい」だけでは足りない! –世界に飛び出していくために必要なマインドセット–
スピーカーは澤 円(@madoka510)さんでした。
マインドセット更新の必要性
世界に存在する全データのうち, 90%が直近2年で生まれたデータ です。これほど頻繁に変わるデータに対応するために, 私たちもマインドセットを更新する必要があります。
「よい」は変化する
「よい」という言葉があります。一昔前は, 品質の高いモノが「よい」モノとされていました。実際に, 日本はそのおかげで高いマーケットシェアを誇っていました。しかし, 今は違います。高品質でも価格が高いモノは今のマーケットニーズに反しているためです。したがって, 過去の「よい」考え方だけでは, イノベーションは生まれません。
「知識・経験」×「スピード」のマトリクスによる人の分類
では, どのような人になるべきなのでしょうか?それを理解するために, 人を「知識・経験」と「スピード」の2軸で分類します。すると, 以下のようになります。
左上から反時計回りに見ていきます。
「賢いが遅い」人は, 組織の成長を阻害します。いわゆる「口だけの人」です。日本に多いタイプのようです。
「愚かで遅い」人は, 組織を停滞させます。いわゆる「どうしようもないノロマ」です。
「愚かで速い」人は, 変化への対応に弱いです。いわゆる「タスクワーカー」です。単純作業がメインなので, 技術革新によって消えていく可能性が高いです。また, 他の場所に移動しづらいのも特徴です。
したがって, 「賢くて速い」人が狙い目です。
「賢くて速い」人になるためには
「賢くて速い」人になるためには, あなたが「どうありたいか(being)」を考えてください。 人は, 「どうありたいか(being)」よりも「何をすべきか(doing)」を考えがちです。
#bitvalley2019
— Tasker (@task4233) September 14, 2019
人は「どうありたいか(being)」よりも「何をすべきか(doing)」を考えがち
「どうありたいか(being)」を考える過程で重要なことが3つあります。
1つ目は, 押し付けられている価値観を取り払うこと です。最も簡単なやり方は, 「新しく何をやるか」ではなく 「新しく何をやめるか」 を考えることです。
2つ目は, どんどんアウトプットすること です。アウトプットによって得られるフィードバックは高品質なインプットに繋がります。アウトプットのやり方に困ったら, 質問をしてください 。
アウトプットのやり方に困ったらまずは質問を。#bitvalley2019
— Tasker (@task4233) September 14, 2019
質問は, 自分向けにカスタマイズされた情報を得られる立派なアウトプットです。
3つ目は, もっと心を自由にすること です。人生は1回きりです。1日は等しく24時間です。 嫌ならやめましょう。
感想
最も印象に残っているのは,
人は「どうありたいか(being)」よりも「何をすべきか(doing)」を考えがち
という部分です。私は 「〜をする」という小目標を立てていた時期があったので刺さりました。その時は日を跨ぐにつれ停滞していったことをよく覚えています。これは, 「どうありたいか(being)」よりも「何をすべきか(doing)」を考えすぎた結果だなと感じました。
クラウド時代のエンジニア生存戦略
スピーカーは高橋 慎一さんでした。
www.slideshare.net
エンジニア編(習慣づくり)とプレイングマネージャ編(現場づくり)の2部構成です。
エンジニア編(習慣づくり)
エンジニアの習慣づくりに重要なことは4つあります。
1. キャリアパスを見据えること
言い換えれば, 市場が求める人材を理解することです。
では,今クラウド業界で必要とされている人材はどのような人材でしょうか?その答えは, 複数の分野がある程度出来て, かつ尖った部分を2・3個持っている人材 です。
例えば, AWSでは100を優に超える膨大なサービスが提供されています。そのため, その一部しか使いこなせないΠ型の人*1は市場が求める人材とは言えません。したがって, クラウド業界では, より一層複数の分野に知見を養う必要があります。
2. インプットを大事にすること
アウトプットをするためには, インプットが必要不可欠です。ただし, 継続することが重要なので, インプットは無理のないボリュームで行ってください。例えば, はてブ*2タイトルの流し読みや本屋に足を運ぶことが手軽で良いでしょう。
3. 目標設定を心がけること
2〜3年単位の長期目標から逆算して, 1年単位の中期目標や2〜3ヶ月単位の短期目標を設定してください。ただし, 各目標で見据えるものは異なります。
具体的に, 長期目標は 自分が望むキャリア変化を見据えて設定してください。 中期目標は, そのキャリア変化をもたらすための環境変化を見据えて設定してください。 短期目標はその環境変化をもたらすためのスキル変化を見据えて設定してください。そうすることで, ブレない技術習得サイクルを築くことが出来ます。
ここで, 長期目標と関連のないことを短期目標に設定しないでください。例えば, カレーの作り方を考えている時に, ポン酢を作れる必要はないですよね。
4. 小さな成功体験を作ること
無作為にあなたを含めた100人を抽出したとき, あなたが一番だと誇れるものはありますか? そこで誇れるような成功体験を作ってください 。
小さなことでも他分野のことでも問題ありません。重要なのは, 1つでも成功体験があることです。なぜなら, 1つでも成功体験がある人は次に繋がりやすいためです。その結果, セルフイメージが高く, 成功癖がついた人になっていきます。
プレイングマネージャ編(現場づくり)
プレイングマネージャとは, この記事に以下のように書かれています。
プレイングマネージャーとは、現場の最前線で売上や利益に貢献する実務を担当する一方、部下の育成や指導を行う管理職を兼任する人物を指します。
いわゆる, 中間管理職です。このプレイングマネージャの現場づくりに重要なことは3つあります。
1. 「できない理由」を探さないこと
「できる理由」を考えてください 。人はやる前から, 無意識のうちに前提条件を作りがちです。そのために, あなた自身を含む従業員で「どうやったらできるか」の思考訓練*3を積んでください。
2. 挑戦できる環境を作ること
メンバーが業務中にスキルアップ可能な「挑戦できる環境」を作ってください 。クラウド業界は早い段階で小さな失敗を繰り返せる挑戦にはもってこいの環境です。そのため, 常に挑戦できる環境づくりをしてください。例えば, プロジェクトごとで別の言語を使用したり, マネージャ自ら挑戦する姿勢を見せたりといった働きかけができます。
3. 視座を下げて考えること
相手(部下)の立場に立った時に, 自分がどう見えるかを適切に振り返る機会を作ってください。考える際に相手の興味・関心を意識するとよいです。
クラウド時代を生き抜くために
以上7つがクラウド時代に重要なことです。
これらを総括して, クラウド時代を生き抜くために 挑戦できる環境に飛び込んでください。
感想
BIT VALLEYの趣旨である「どのように」創造するかを体現したようなセッションでした。このセッションは, エンジニア編では4つ, プレイングマネージャ編では3つのポイントを言語化していました。言語化した情報は意識に留めやすく, 人にも伝えやすいのでありがたかったです。
世界中の開発者と共にモノづくりをするために必要な6つのこと
スピーカーは田中 洋一郎(@yoichiro)さんでした。
前座は抜きにします。タイトルにもある「世界中の開発者と共にモノづくりをするために必要な6つのこと」は以下の通りです。
- 素振りを欠かさないこと
- 居場所を探し続けること
- 外部とのつながりを持つこと
- 何かを作って公開すること
- カッとなったときにやること
- 英語に屈しないこと
1つずつ深掘りします。
1. 素振りを欠かさないこと
基本をこなしながら, 試行錯誤を繰り返して引き出しの数を増やしてください。
素振りとは「基本をこなす」という意味合いです。人は何も土台のないところから閃くことはありません。そのため, 基本→応用→閃きの順に構成していくことが必要です。言い換えれば, 土台→工夫→未知となります。その過程で, 素振りを欠かさないでおけば, 自分の引き出しが増えていきます。それにより, 突然降ってきたタスクに対応しやすくなります。
引き出しの数を増やすためには, 様々なことに少しずつチャレンジしてください。オススメはチュートリアルをやることです。チュートリアルが余裕ならベータ版に触ってみるのも良いです。
2. 居場所を探し続けること
どこにいれば自分の信じる次のステージに行けるかを考えてください。
#bitvalley2019
— Tasker (@task4233) September 14, 2019
どこにいれば自分の望む次のステージに行けるかを考える。
それに応じて属する場所を変えていく。
ハードウェアやサービスは日々刻々と変化しています。それに応じて属する場所を変えていくと良いでしょう。
3. 外部とのつながりを持つこと
広い視野を持つために, 身近なことから始めてください。 始めるのは簡単なことからで良いです。
最初は, 手軽に始められる勉強会に参加しましょう。そこで手を動かしてアウトプットします。時には身内に対して情報を共有するのも良いでしょう。それを繰り返して, 徐々に影響範囲を広めていきます。その過程で, よりアクティブで, より詳しく, より尊敬できる多くの人々と出会います。そして, 迷ったら即相談できるような仲間ができていきます。
気がつくと, 自分の周りに日本人がいなくなります。なぜなら, 自分より詳しい日本人がいなくなるためです。その時, あなたは「多様性」の中に自分がいるでしょう。
4. 何かを作って公開すること
何かを自分で作ってください。 そして, 作ったものを公開しましょう。公開すれば, その制作物が独り歩きして, 人や情報を集めてくれます。
5. カッとなったときにやること
カッとなったとき*4に, 積極的に行動してください
積極的に取り組むと事故の発生率は上がります。ただし, 優秀な人ほど事故も経験しています。すなわち, 優秀さとはどれだけ失敗しそれをリカバリーしたかということです。日頃から積極的に行動し, 事故を経験すればするほど, そのあとの伸び率は高いでしょう。
6. 英語に屈しないこと
得意なことに英語を取り入れてください。
具体的には, 様々なチュートリアルを英語で学んだり, GitHubのリポジトリを英語のみで書いてみたり, 作ってみたモノを英語で宣伝してみたり, stackoverflowで回答してみたりと, 様々です。
世界には第二外国語が英語の人が多いので, 拙い英語なのはお互い様です。お互い興味のあることなら何度でも聞き直して問題ありません。
この繰り返しで成功体験を積み上げることで, あなたの自信につながります。
感想
このセッションは私の考えと似た部分があったので, 共感できる部分が多かったです。それに加えて, 私が出来ていないことが言語化されていて, モヤモヤしていた部分が少し晴れました。残りのモヤモヤは, 実践して自信をつけて解消していくつもりです。
全体を通して
個々のセッションの方向性は違えど, よく耳にした内容が3つあります。
1つ目は, 「アウトプットすること」 です。これが最も多かったように感じました。アウトプットは成果を公開するだけでなく, 情報が集まるきっかけになったり, 情報を整理するきっかけになったりします。そのため, 小さなことでもアウトプットしていくことは重要だと感じました。
2つ目は, 「気になったらやってみること」 です。「カッとなったときにやる」や「違和感をきっかけにモノを作る」といったように表現は違えど, 根は同じであると考えています。私は興味のあることにひたすら取り組んでいるので, この姿勢を続けていこうと考えています。
3つ目は, 「成功体験を作ること」 です。成功体験はあなたに自信をもたらします。そのため, 「どのように創造するか」において重要な要因の1つなのではないでしょうか?私は小さな成功体験はあるものの, 1番秀でていると誇れるほどの成功体験は未だにないので, 徐々に積み上げていくつもりです。
おわりに
以上が参加記録になります。
全体的に刺さったセッションが多く, 気づけたことの多いカンファレンスでした。 そのため是非来年も参加したいと思います。
学生は無料だったので, 興味のある方は来年のBit Valleyに参加してはいかがでしょうか?